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「演出」という視点から見直すマイケル・ポーターの競争戦略

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「垂直統合システム」からひも解くタカラヅカ

著名な経営学者マイケル・ポーターが名著「競争の戦略」を世に問うたのは1980年のことでした。戦略論の古典として、今なお読み継がれる名著のポイントの一つに「垂直統合システム」の解説があります。

これは簡単に言うと、企業が商品や製品の「企画開発」「製造」「販売」を自社(グループ)で一手におこなうことで、わが国ではトヨタ自動車やパナソニックなど、主として製造業の躍進の大きな要因として解説されています。

日本の製造業を「JAPAN AS NO.1」と不動のものにさせた戦略が、100年も前に既に製造業ではない宝塚歌劇の世界で構築されていたと聞けば、驚く方も多いでしょう。

タカラヅカ誕生のその経緯と垂直統合

1914年に兵庫県のひなびた温泉地で産声を上げた宝塚歌劇・・・その歴史を振り返れば、その謎が解けてきます。

宝塚歌劇は、阪急電鉄の創設者である小林一三の発想により生まれたことは有名ですが、その設立当初の位置付けは、阪急電鉄の本業である鉄道事業への「旅客誘致」というものでした。阪急宝塚線の終端駅である宝塚に歌劇場を作って、都会からの観劇客を集め、その人たちが乗ってくる「阪急電車の運賃収入拡大」の手段として「通年」で歌劇が上演されたのです。相前後して、歌劇だけでなく「遊園地」「球場(プロ野球球団)」といった娯楽メニューも「旅客誘致」に加えられ、鉄道敷設→沿線宅地開発分譲→旅客誘致のためのレジャー開発といった「日本の私鉄経営モデル」が小林一三の手によって作り上げられました。

宝塚歌劇は、「通年」で旅客誘致するために、演劇興行界では常套手段になっている「ロングラン」を志向することなく、目先を変え、繰り返し来訪させるために新作主義を取り、多くの作品を製作する体制をつくりあげました。

小林一三は、それがもたらす必然としての役者も複数のユニット(組)に分けて自前で抱え、その教育機関(宝塚音楽学校)も、稽古場も、製作場も、劇場も、事務所もバリューチェーン上のすべての要素を宝塚に集積させる「演出」を施したのです。それが「宝塚ムラ」と言われる一大「聖地」を発生させ、昨今、はやっている「聖地巡礼」ブームの先駆けを作ったとも言えます。

今現在も

  • 創って ⇒ 企画制作・・・宝塚歌劇団
  • 作って ⇒ 大道具・衣装等の製作・・・阪急電鉄の100%子会社、株式会社宝塚舞台
  • 売る  ⇒ 劇場経営、チケット販売、団体営業・・・阪急電鉄直営

という垂直統合システムがより一層ブラッシュアップされて稼働しており、宝塚歌劇の隆盛は、ひとえに小林一三の「競争の戦略」=「垂直統合システム」採用という「演出」によって支えられているのです。

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